ニュース
炭素隔離
三井物産は、日本の工場や発電所で発生する二酸化炭素を貯留するための用地をアジア太平洋地域などで確保し、2035年までに年間1500万トンを貯留する権利を取得する計画である。貯留権確保後、三井物産は早ければ2030年にも日本企業などを対象とした炭素回収・貯留(CCS)サービスを開始する予定である。炭素の回収・輸送・貯蔵を含む総合的なサービスを提供することで、日本企業の温室効果ガス排出削減に貢献することを目指している。
気候政策
日本の環境省は、11月16日、パリ協定第6条実施パートナーシップを発足させた。このパートナーシップは、各国が炭素市場や国家決定貢献(NDCS)との関連について知識や経験を共有するプラットフォームを構築することで、6条を補完することを目的としている。第6条の「ルールブック」は昨年の第26回会議で最終決定されたが、それを実施するためのメカニズムについてはまだ未解決の問題がある。
【本文】
https://www.argusmedia.com/en/news/2392469-cop-27-japan-launches-article-6-partnership
再生可能エネルギー
カナディアン・ソーラー社は、日本を代表するメガプロジェクトである福島県の吾妻小富士太陽光発電所(100MWp)がこのほど、商業運転を開始したことを発表した。このプロジェクトは、カナディアン・ソーラーにとって日本最大のプロジェクトであり、福島県にとってもこれまでで最大の稼働中の太陽光発電プロジェクトである。このプロジェクトには、カナディアン・ソーラーの高効率HiKuモジュールが使用されている。カナディアン・ソーラーの現地法人が、同発電所の長期運営・維持管理を行う予定である。
脱炭素日
脱炭素日のオープニングセッションで、アフリカ連合(AU)のインフラ・エネルギー・ICT担当委員アマニ・アブ・ザイドは、気候変動がアフリカに年間500~800億ドルの損失を与えているとし、公正なエネルギー転換を加速させるために5億ドルの気候変動投資について言及した。その後、産業分野別の脱炭素化について、石油・ガス、セメント、肥料、鉄鋼の各セクターの意見を中心に、グリーンテクノロジーや国際協力といった事柄について議論した。
【本文】
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/59e085949988aa35.html
日本とインドネシア
日本とインドネシア両政府は14日、アジアの脱炭素移行を日本の官民で支援する新たな構想の推進で合意した。まずインドネシアの再生可能エネルギー導入や送配電網の増強などに向け、最大5億ドル(約700億円)融資する。脱炭素への取り組みを本格化させ始めたアジア各国の資金不足の懸念に応える。インドネシア訪問中の岸田文雄首相は14日、同国のジョコ大統領と会談し、合意文書を発表した。
【本文】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA143RN0U2A111C2000000/
【再生可能エネルギー】変わる日本の原子力政策
2022年8月24日、日本政府は新たな原子力政策を発表した。この新政策の骨子は、「再稼働の加速と運転期間の延長による既存原発の最大限の活用」「先進的な次世代原子炉の開発・建設」「バックエンド支援を含む原子力利用に適した条件の整備」の3点である。新政策の2点目は、福島原発事故があったため、最も議論のあるところである。しかし、未解決の問題が多く、実現可能性は未知数である。例えば、原子力発電所の再稼働には、原子力規制委員会の許可と地元住民の同意が必要である。また、規制緩和された市場において、原子力発電が競争力を維持できるかどうかも問題である。さらに、政府が50年以上にわたって進めてきた原子力政策の後始末も未解決のままである。
【本文】
https://thediplomat.com/2022/11/japans-changing-nuclear-energy-policy/
観点
省エネ行動 【ジャパンタイムズ】
小池百合子東京都知事は、暖かく過ごすため、またエネルギー消費を減らす方法として、タートルネックのジャンパーを着るよう都民に呼びかけた。首を温めると、着ている本人だけでなく、他の人も温かくなるので、温熱効果があると提案した。首元を温めることは、着る人だけでなく、他の人も温められるため、結果的に暖房や冷房をつける人が減り、節電につながる。
ネット・ゼロ・エミッション 【Japan Today】
国連の専門家グループは、ネット・ゼロを約束する企業、銀行、地方自治体に対し、その約束が「インチキ」な保証ではなく、意味のある行動になるよう、数々の厳しい勧告を打ち出した。この報告書は、ネット・ゼロが「誤った主張、あいまいさ、『グリーンウォッシュ』によって損なわれる」ことを防ぐためのロードマップと呼ばれる。
【本文】
https://www.asahi.com/ajw/articles/14764569
脱炭素の主張 【アゴラ】
誤った二酸化炭素排出削減の主張が拡散しているのは、企業だけが悪いわけではない。そのような発言をした企業のメッセージを見ればわかるように、日本政府が掲げる2030年までの46%炭素排出量削減が必要条件であり、それは購入電力のCO2排出係数を46%削減することを意味すると明言している。こうした情報を公表していない企業でも、自社の努力では到達できない可能性もあり、社内の二酸化炭素排出量計算では、発電における低炭素化を想定している。
【本文】
https://agora-web.jp/archives/221115031723.html
若者の声 【世界経済フォーラム】
気候変動の影響を最も受けるのは新しい世代であるにもかかわらず、政策の意思決定者はずっと年配であるという事実は、考え方に大きなギャップを生じさせている。日本の15歳から69歳の消費者6,800人を対象にした持続可能性に対する意識調査では、あらゆる世代の多くの消費者が、持続可能な製品に対して割増料金を支払うことに前向きであることがわかった。Z世代はより多くを支払うことに最も寛容で、2倍支払うことを検討する人が20%もいる。さらに、Youth Climate Conference Japanは、政府、主要政党、日本経済財団と意見交換を行い、2025年までにプラスチック包装の規制や食品の排出量表示の義務化などの政策提言という形で、若者の声を可視化した。
【本文】
https://www.weforum.org/agenda/2022/11/japan-youth-climate-change/
https://jp.weforum.org/agenda/2022/11/jp-japan-youth-climate-change/(日文版链接)
解釈
【グリーン・トランスフォーメーション】日本の1400億ドル規模の債券計画で投資家がグリーンウォッシングに警戒感
岸田文雄首相の「グリーン・トランスフォーメーション経済移行債」は、その曖昧な名称と詳細の欠如により、グリーンウォッシュへの警戒感を強める投資家の間で懸念を呼んでいる。専門家の中には、「グリーントランスフォーメーション」のコンセプトが広すぎるという指摘もある。確かにグリーン債務の需要は急増しているが、一方で投資家は環境配慮を誇張した金融商品に対してより厳しい監視の目を向けている。この問題に対処できなければ、投資家の意欲をそぎ、日本が気候変動対策の目標を達成するために必要な資金を調達することが難しくなる可能性がある。
【本文】
https://www.japantimes.co.jp/news/2022/11/18/business/greenwashing-bond-plan/
【炭素税】日本は炭素税改革を延期、生活費抑制のためと日経新聞が報道
日本は、炭素税の課税方法を見直す計画を延期している。政府は、2023年4月に始まる会計年度に予定されていた新しい炭素税の導入を、すでに高騰している生活費に追加することになるため、延期する予定である。様々な業界からの抗議により、変更が延期されるのは少なくとも2回目である。新税の水準に関する詳細はまだ発表されていない。
【低炭素エネルギー】カーボンニュートラル:バイオ燃料にシフトする横浜
横浜市の先進的な工業地帯には、脱炭素政策に共感する企業が集まっているが、横浜のバイオ燃料団体の中心構成員であるユーグレナ社もその一つである。藻類からバイオジェット燃料やディーゼルエンジン用バイオ燃料を製造する推進プラントを設立し、食用油の使用を廃止した。ユーグレナ社は、横浜市が「SDGs未来都市」であることから、横浜市企業立地条例に基づく補助金を受けており、SDGsに積極的な企業であることがわかる。
【再生可能エネルギー】原子力、効果的な脱炭素化へ-IAEAがCOPで初めて原子力推進、展示ブースを設置
国際原子力機関(IAEA)は、COP27で初めて原子力の活用に関するブースを設置した。日本の関係者によると、これまで原子力発電が議論されなかったのは、面倒な問題が発生する可能性があり、その対処が煩雑になりうるからである。しかし、今日の世界情勢の影響を受けて、天然ガスの供給が不安定になり、石炭火力の割合が大きくなっている。この問題を解決するために、原子力発電が再び持ち上がり、2050年のネットゼロエミッションの目標達成のための主要な手段と考えられている。
【本文】
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221117-OYT1T50011/
【省エネ技術】「脱炭素」のブランディング – なぜ企業は躍起になるのか?
日本では、多くの企業が自社のチェーンで脱炭素化を図り、脱炭素化製品を発売しようとしている。ダイハツ工業は、生産工程にロボットを導入し、静電塗装技術の活用で空気中の塗料を大幅に削減し、CO2排出量削減に繋がった。日立製作所は、仮想空間に現実世界を再現し、電力センサーによる電力消費の可視化でCO2排出量を削減した。パナソニックは、水素発生型燃料電池、太陽光発電、蓄電池を組み合わせ、工場で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーに変換する実証実験を工場で行い、酒造メーカーの神戸酒心館は、醸造過程で二酸化炭素をほとんど排出しない日本酒を発売している。
【本文】
https://www.sankei.com/article/20221119-QPD7GFAXWRNWZK4KXFIFDCPVSM/
【気候変動ファイナンス】米国と異なり、日本は気候変動ファイナンスの公正な分担金以上を支払っている。しかし、その対価は?
Carbon Briefのデータによると、米国は、豊かな国々が放出した排出量の半分以上を占めていることを考えると、399億ドル(380億ユーロ)を提供すべきであったとしている。一方、日本は過去の排出量に対して79億ドル(76億ユーロ)と、正当な割合よりも多く寄付をしている。しかし、日本の気候変動投資の86%は融資であり、多くの途上国は、気候危機の責任は先進国にあるため、先進国は融資ではなく、助成金という形で途上国の損失を補償すべきと考えている。COP27で導入された気候変動資金の第3のカテゴリーである「損失と損害」基金は、途上国と先進国の間でいたちごっこのような議論が行われている。経済大国である日本は、この新しい資金メカニズムに対してより慎重なアプローチをとっている。日本の外務大臣は、日本は途上国の訴えに共感し、すでに多額の人道支援を行っているが、「損失と損害」基金は間違いなく、その途上国により有利であると指摘した。日本も気候変動に悩まされていることを考えると、この考えには疑問が残る。
他のリソース
日本における炭素価格設定のための主要な知見 – OECD
地球規模の炭素収支
IOSCOは、持続可能性の開示、グリーンウォッシュの抑制、炭素市場の健全性の促進に関する規制の優先順位を概説する
日本におけるグリーンスチールへの道:脱炭素製鉄への転換をめざして
【本文】
https://kyodonewsprwire.jp/release/202211180022