昨今では企業のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減が求められているようになってきています。
しかし自社サプライチェーンのどの部分において温室効果ガスが多く輩出されているのかが具体的にわからないと、効率的に温室効果ガスの排出量削減を進めることはできません。
そこで今回はスコープ3と呼ばれる算定の対象領域の内、カテゴリー5について取り上げます。
スコープ3の全体像については以下の記事をご覧ください。
カテゴリー5とは?
カテゴリ5の算定対象範囲は、自社の事業活動から発生する廃棄物の自社以外での「廃棄」と「処理」に係る排出量です。
「廃棄」の過程での輸送における排出を算定対象とするかは任意です。他方で、「処理」にはリサイクルも含まれます。ただし、自社工程内のリサイクル等の自社処理分は、Scope1 で計上することになります。
なお、リサイクルされた場合の算定対象範囲についてはリサイクル後のフローの全てを算定範囲とするのは現実的に不可能なため、一定の範囲で区切る必要があります。例えばリサイクル準備段階(輸送・解体・破砕・選別)までの排出量を算定対象範囲とすることや、リサイクル処理プロセス全てを算定対象とすることなどが考えられます。
カテゴリー5での排出量の算定方法は?
まず、スコープ3でもご紹介したように、
という基本式はどのカテゴリーにおいても共通しています。その中で「活動量」の部分にカテゴリーごとの特色がある、というイメージです。
カテゴリー5では廃棄の過程で、廃棄物の処理方法の実態の把握が困難かどうかによって算定方法を使い分ける必要があります。
処理・リサイクルの実態が把握できる場合
この場合は以下の式のように廃棄物・リサイクル物等の量を「活動量」とします。それに廃棄物に応じた排出係数を乗じれば完成です。
CO2排出量 = Σ{(廃棄物種類・処理方法別の廃棄物処理・リサイクル量)×(廃棄物種類・処理方法別の排出原単位)}
処理・リサイクルの実態の把握が困難な場合
この場合、廃棄物処理・リサイクル業者への委託費用や委託量に、廃棄物種類毎の標準的なシナリオに基づく排出原単位を乗じることによって排出量を推計します。
CO2排出量 = Σ{(廃棄物処理・リサイクル委託費用(量))×(排出原単位)}
まとめ
自社で使い終わったから関係ない、ということは決してありません。自社が世に出すものは「製品・サービス」だけではなく、「廃棄物」も自社から社会に影響を与えうるものの一つです。
社会に影響を与えうるものとして、廃棄物にかかる温室効果ガスの排出量の算定の正確性が求められていることはもちろんのこと、事業を継続するには必ず出てくるものであるだけに、廃棄物にかかる温室効果ガスの排出量の算定方法をいかに再現性の高い形で確立するか、ということが大切であると言えるでしょう。
自社のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を算定することは、簡単そうに見えても実際に算出してみようとすると大変なものです。
しかし、そのことは同時に企業に求められている社会的な責任であり、その企業の将来性を左右するものとも言えます。
そのため、弊社では企業の温室効果ガス排出量を算定・可視化し、その結果をもとに具体的な温室効果ガス排出量削減案を提案させていただいております。
自社の温室効果ガス排出量を知りたいけど、何から始めればいいかわからない、という場合にはぜひご相談ください。