昨今では、社会全体を通して二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の削減が求められています。
しかし、自社が今どれくらい温室効果ガスを排出しているのかがわからないと、効果的に温室効果ガスの排出量削減に取り組むことはできません。
そこで今回はスコープ3と呼ばれる温実効果ガス排出量算定の対象領域の内、カテゴリー6について取り上げます。
スコープ3の全体像については以下の記事をご覧ください。
カテゴリー6とは?
カテゴリー6では、自社が常時使用する社員の移動の際に使用する交通機関における燃料・電力消費から排出される排出量が、算定対象となります。例えば、自社の社員が東京から千葉にバスで移動した際、そのバスから排出される温室効果ガスの排出量が対象となります。
ただし、自社が保有する車両等による移動は除き、それらによる排出はスコープ1またはスコープ2で算定することとなります。
なお、常時使用する従業員とは、排出量を報告する年の前年4月1日時点で
社員等である期間が連続して 1 ケ月を超える人
又は同年の2月及び3月中にそれぞれ 18 日以上使用されている人
以上のどちらかにでも当てはまる人のことを指します。
カテゴリー6の算出式は?
ここからは、カテゴリー6での算定方法についてご紹介します。カテゴリー6でも、他のカテゴリーと同様に、基本式が「活動量」×「排出源単位」であることは変わりません。
ただ、「活動量」を求める際に、交通手段の燃料使用量や燃費、移動距離などのデータが自社にある場合と、ない場合で計算方法が異なってきます。
前者の場合の方が正確な排出量を求めることができるため望ましいですが、燃料使用量や移動距離といったデータは自社にはないことが多いため、後者の場合の方が多く使用されていると言えるでしょう。
以下では、その二つの場合に分けてご説明します。
移動距離、又は、移動のために消費された燃料使用量が把握できる場合
この場合、基本的には「燃料使用量や移動距離といったデータ」に「排出源単位」を掛けることで温室効果ガスの排出量が求められます。
例えば、自社の従業員が出張する際に使われたガソリンが5klだったとします。ガソリンの排出源単位は2,322tCO2/klなので、
5×2,322=11.61tCO2
つまり、11.61トンの温室効果ガスが排出されていると求めることができます。
この計算式は、交通機関のほとんどの種類で使うことができますが、旅客航空機や旅客船舶の場合は、「旅客数」に「旅客移動距離」を掛けてから「排出源単位」を掛ける、という方法が採られています。
上記の方法による把握、算定が難しい(燃料使用量などのデータが手元に無い)場合
ここからは、燃料使用量などのデータがなく、先の算定方法が取れない場合に採用される方法で、基本式の「活動量」の部分に「交通費支給額」、「宿泊数」、「出張日数」、「従業員数」などを代入して算定することができます。
例えば、従業員が一週間の出張を行なってきたとします。この場合、宿泊数は6泊です。宿泊数あたりの排出量源単位は31.5(kgCO2/泊)なので、
6×31.5=189kgCO2
つまり、189キログラムの温室効果ガスが排出されていると求めることができます。
まとめ
以上のように、種々のデータから温室効果ガスの排出量を求めることができますが、やはり宿泊数や従業員数といったデータだけでその期間に排出された温室効果ガスの排出量が求めることは、燃料使用量などのデータを元に算出する場合よりも正確性が落ちてしまうと言えるでしょう。
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