導入
POINT
東京証券取引所は先月、日本の排出権取引を揺るがすかもしれない「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」を開始した。この実証とは、企業が二酸化炭素の排出削減量を商品として取引できるようにするものである。このシステムの目的は、企業が一国の義務である温室効果ガス削減目標のうち、より大きな炭素削減目標を達成するためのインセンティブをさらに高めることであり、実証事業の最終目標は、その規模を拡大して炭素取引をより開かれた市場へと移行させることである。そのうえ、中小企業の温室効果ガス排出削減を促進するため、環境省は金融機関の職員を対象に、資格取得者が二酸化炭素排出量の算定に基づく分析・アドバイスを行える資格制度の整備に乗り出すことになった。 環境省は排出量の算定基準などを示すガイドライン(指針)を作成し、適合する民間の資格を来年度以降、認証や登録する方法を検討している。
ニュース
建物の省エネ
大成建設は、建物のライフサイクルにおいて温室効果ガスをほとんど排出しない「ゼロカーボンビル」を推進している。また、設計者、施工者、事業者、利用者が建物のライフサイクルにおけるCO2排出量を把握し、削減できるよう、建物の脱炭素化を徹底して可視化して評価するシステムを開発した。
【本文】
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220909_8933.html
グリーンファイナンス
中小企業の温室効果ガス排出削減を促進するため、環境省は金融機関の職員を対象に、資格取得者が二酸化炭素排出量の算定に基づく分析・アドバイスを行える資格制度の整備に乗り出すことになった。 環境省は排出量の算定基準などを示すガイドライン(指針)を作成し、適合する民間の資格を来年度以降、認証や登録する方法を検討している。
【本文】
https://www.sankei.com/article/20220910-VJNJBT5MFNN4ZAIPY63CAJXS4I/
省エネ技術
ホンダは、「2040年代に全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現する」という目標を発表した。ホンダは、内燃機関の進化に取り組みつつ、二輪車の電動化を加速させていくとしている。ホンダの当初の目標は、今後5年間で電動二輪車を100万台販売し、2030年までに年間販売台数350万台を達成することである。
【本文】
https://news.webike.net/raceinfo/247680/
建物の省エネ
2025年4月から、東京都は全国で初めて、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付けることになった。東京都の土地条件は、再生可能エネルギーの開発に適しているとは言えない。そのため、このような政策に踏み切ったことは、政府が再生可能エネルギーを重要視していると言える。東京都では、地区ごとに日照量に応じた設置基準を設け、約50社の大手住宅メーカーに設置を義務づける予定である。
【本文】
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00332/092900051/
エネルギー&テクノロジー
中国は電気自動車で世界をリードすることに満足せず、メタノール自動車の開発と応用を加速している。燃料としてのメタノールは、同等の発熱量を持ちながら、従来の燃料よりも環境に優しい。メタノール車は、ガソリン車に比べてエネルギー効率が21%向上し、CO2排出量は26%削減できる。電気自動車と同様、中国の自動車メーカーがメタノール車の分野で再び商業的成功を収め、中国の気候関連技術への意欲を政治的に後押しする可能性が高いのである。
カーボンニュートラル
マレーシアの国営エネルギー会社ペトロナスは、日本の経済産業省との協力覚書、および国際協力銀行(JBIC)との覚書を締結した。両者は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという、相互の持続可能性目標を共同で追求することを目指し、2022年9月26日に文書に調印した。この協定により、投資や融資が促進されるとともに、地域の低炭素技術における技術協力やコンピテンシーが強化されることが期待される。
【本文】
https://www.offshore-energy.biz/petronas-bolsters-ties-with-japan-to-work-toward-carbon-neutrality/
観点
カーボン・マーケット 【エリック・ジョンストン】
東京証券取引所は先月、日本の排出権取引を揺るがすかもしれない「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」を開始した。この実証とは、企業が二酸化炭素の排出削減量を商品として取引できるようにするものである。このシステムの目的は、企業が一国の義務である温室効果ガス削減目標のうち、より大きな炭素削減目標を達成するためのインセンティブをさらに高めることであり、実証事業の最終目標は、その規模を拡大して炭素取引をより開かれた市場へと移行させることである。
【本文】
https://www.japantimes.co.jp/news/2022/10/04/business/tokyo-stock-exchange-carbon-trading/
炭素捕獲 【小田祥子】
日本の三菱重工業株式会社は、来年、中小規模の炭素回収システムのラインアップの導入を始める予定である。このシステムは、都市ごみ焼却炉、セメント工場、または船舶のような小規模の汚染源から排出されるCO2を最大95%隔離できる、と推定される。三菱重工業のような企業は、回収、貯蔵、利用技術の開発を競っているのである。
エネルギー&テクノロジー 【スコット・フォスター】
日本の産業機械・プラントエンジニアリング会社の荏原製作所は、環境に優しいターコイズ水素を製造する技術に取り組んでいる。ターコイズ水素は、メタンの熱分解、つまり二酸化炭素を排出せず、天然ガスを熱分解して水素と固形炭素に変換し、貯留ではなく売却する方法を利用して製造される。固体炭素から得られる製品には、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどがある。
【本文】
https://asiatimes.com/2022/09/the-future-of-turquoise-hydrogen-is-japanese/
気候変動と生活
ある研究により、炭素汚染が世界に与えているコストは、最近の推定値の4倍近くに上る可能性があることが判明し、気候変動対策が現在および将来の世代をどれだけ救うことができるかが浮き彫りになった。温室効果ガス排出のコスト計算は、これまでの方法論ではさまざまな点で過小評価されていたが、炭素汚染が引き起こす過剰な死亡率や農作物の損失については、これ以上ないほど過小評価されていた。気候や経済の専門家の中には、社会経済予測、気候モデリング、気候影響評価、経済的割引に関する最新の研究を用いて、炭素汚染の真のコストを推定するツールを作成した者もいる。
【本文】
https://www.japantimes.co.jp/news/2022/09/05/world/carbon-emissions-cost-study/
解釈
【炭素会計】サプライチェーン脱炭素化の鍵 “Scope3排出量 “の算定手順とケーススタディ
“Scope3排出量 “とは、原料調達、製造、物流、販売、廃棄など一連の流れで発生するGHG排出量のことである。本稿では、Scope3排出量の算定について、算定目的の決定、算定対象の範囲の確認、区分の設定、区分ごとの算定という4つの算定手順を紹介する。Scope3を測定することで、サプライチェーン全体の炭素排出量を直感的に把握することができるため、企業は製品サプライチェーンの各部分で適切な排出削減対策を選択し、排出削減のスピードを加速させ、強いサプライチェーンを構築することができる。
【本文】
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2210/06/news033.html
【再生可能エネルギー】世界の電力需要に対応する努力の中で、再生可能エネルギーが成長を見せる
エネルギーシンクタンクEmberが発表した新しい分析で、研究者は、2022年上半期に世界の電力需要が389テラワット時増加し、風力、太陽光、水力を合わせると416テラワット時増加することを明らかにした。これにより、汚染を引き起こす化石燃料による発電量が4%増加する可能性がある一方で、400億ドルの燃料コストと230メガトンの二酸化炭素排出を回避することができた。その世界の電力需要の増加に自然エネルギーが対応できるようになるティッピングポイントは、私たちに近づいてきていると信じる。
【本文】
https://www.japantimes.co.jp/news/2022/10/05/business/renewables-electricity-demand/
【エネルギー&テクノロジー】アンモニアで脱炭素社会を目指す日本
アンモニアは、長い間、水素を貯蔵する方法として考えられてきたが、最近では、アンモニア自体がクリーンな燃料であると考えられている。アンモニアの体積エネルギーは水素の約2倍と非常に優れている。水素のような貯蔵の問題もなく、さらにグリーンアンモニアは、従来のアンモニアの製造過程で発生する大量のCO2という、長年の問題を解決することができる。また、アンモニアは船舶の燃料としてディーゼルに代わる可能性がある。日本では温室効果ガス削減のため、石炭火力発電所の混焼燃料としてアンモニアの利用が検討されている。
【本文】
https://hackaday.com/2022/09/27/japan-wants-to-decarbonize-with-the-help-of-ammonia/
他のリソース
アーンスト・アンド・ヤングの鉄鋼業におけるグリーン・トランスフォーメーションに関する開発報告書
2022年 国連気候変動枠組条約 – UNFCCC
予測・展望調査報告書
イベント
予告 今後のイベント
10月26日 – 10月28日 激変する時代のエネルギー戦略 -脱炭素社会に向けた新たな道筋とは?
【詳細】
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00503/093000001/
11/27 変革のチャンス。ESGスコアの低い企業へのアプローチ方法
11月29日 責任ある投資の現在と未来
振り返り
9月29日 ポートフォリオの変革:Net Zeroとの連携
【詳細】
https://www.brighttalk.com/webcast/18673/553288