昨今では企業のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減が求められているようになってきています。
しかし自社サプライチェーンのどの部分において温室効果ガスが多く輩出されているのかが具体的にわからないと、効率的に温室効果ガスの排出量削減を進めることはできません。
そこで今回はスコープ3と呼ばれる算定の対象領域の内、カテゴリー4について取り上げます。
スコープ3の全体像については以下の記事をご覧ください。
。
カテゴリー4とは
カテゴリー4では、報告対象年度に購入した製品・サービスのサプライヤーから自社への物流に伴う排出が主な対象範囲となります。
また、商社等の仲介業者が商取引を仲介している場合であっても、物流としては製造者から直接手配して引き取っている場合等は、自社が調達した製品・サービスの製造者からの輸送を算定対象に含めることになります。
輸送に関する排出がどのカテゴリーに当てはまるかをまとめたものが、以下の図です。
輸送区分 | 対象カテゴリー | |||
貨物種類 | 貨物の所有権 | 貨物の流れ | 輸送料金の支払い | |
一般の貨物輸送 | 有 | 調達側 | 有 | カテゴリー4 |
無 | カテゴリー4 | |||
出荷側 | 有 | カテゴリー4 | ||
無 | カテゴリー9 | |||
無 | 調達側 | 有 | カテゴリー4 | |
無 | カテゴリー4 | |||
出荷側 | 有 | カテゴリー4 | ||
無 | カテゴリー9 | |||
廃棄物輸送 | ― | ― | ― | カテゴリー5 |
カテゴリー4の算定方法
まず、スコープ3でもご紹介したように、
という基本式はどのカテゴリーにおいても共通しています。その中で「活動量」の部分にカテゴリーごとの特色がある、というイメージです。
カテゴリー4では、まず輸送面と保管面に分けて算定する必要があります。
まず、輸送に伴う排出量における、3つの算定方法についてご紹介します。
1、燃料法
CO2排出量=Σ(燃料使用量×排出原単位)
燃料の使用量をもとにCO2排出量を算定する方法です。また、以下では排出源単位を単位発熱量×排出係数×44/12で求めます。
2、燃費法
CO2排出量 = Σ(輸送距離/燃費 × 排出原単位)
燃費をもとにCO2排出量を計算する方法です。
3、トンキロ法
トンキロ法は、輸送手段によってさらに二つの算定方法に分けることができます。
トラックの場合・・・Σ(輸送トンキロ × トンキロ法燃料使用原単位×排出原単位)
鉄道、船舶、航空の場合・・・輸送トンキロ × トンキロ法輸送機関別排出原単位
以上が大きく3つの算定手法ですが、仮に燃料種や輸送距離が不明な場合には、原材料に基づいた輸送シナリオに基づく算定手法を用いることもあります。
次に、物流拠点や販売拠点での荷役、保管、販売について、対象拠点におけるエネルギーの使用に伴う排出量の算定方法をご紹介します。ここでは、燃料と電気に分けて算定する必要があります。
燃料
CO2排出量 = Σ{燃料使用量 × 排出原単位(=単位発熱量×排出係数 × 44/12)}
電気
CO2排出量 = Σ(電気使用量 × 排出原単位)
比較的容易に算定できる部分ではありますが、見落とさずに算定する必要のある部分です。
まとめ
輸送や保管に伴う排出量は、何を排出しているかであったり、その排出がどの事業者によって、または誰がその費用を負担しているかといったことで対象となるカテゴリーが異なります。
自社のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を算定することは、簡単そうに見えても実際に算出してみようとすると大変なものです。
しかし、そのことは同時に企業に求められている社会的な責任であり、その企業の将来性を左右するものとも言えます。
そのため、弊社では企業の温室効果ガス排出量を算定・可視化し、その結果をもとに具体的な温室効果ガス排出量削減案を提案させていただいております。
自社の温室効果ガス排出量を知りたいけど、何から始めればいいかわからない、という場合にはぜひご相談ください。